「学校から『ソプラノリコーダーを用意してください』というプリントが届いたけれど、ネットで調べたら種類が多すぎて、どれを買えばいいか分からない……」
今、手元のスマホ画面を見つめながら、そんな風にフリーズしていませんか?
「ジャーマン式」に「バロック式」、さらにはメーカーもいろいろ。
もし間違ったものを買って、授業中にうちの子だけ指使いが違って困ることになったら……と不安になりますよね。
学校のプリントって、どうしてあんなに不親切なんでしょうね(笑)。
実は、プリントに書かれた“ある一言”を見れば、ジャーマン式かバロック式かは一瞬で判別できるんです。
結論から申し上げます。
日本の公立小学校の9割以上は「ジャーマン式」を採用しています。
この記事では、元音楽教諭の私が、現場の裏側を知る立場から「プリントの文言から正解を見分ける方法」と「絶対に失敗しない定番モデル」をズバリお教えします。
この記事を読み終える頃には、自信を持って「これだ!」という1本をポチッと購入できているはずですよ。
[著者情報]
斉藤 まどか
元小学校音楽専科教諭 / 楽器店・教育楽器アドバイザー
小学校での音楽指導歴15年。延べ3,000人以上の保護者にリコーダー選定のアドバイスを行ってきた専門家。現在は楽器店にて教育楽器のコンサルティングを担当し、自治体の学校一括購入選定委員も務める。「親子の不安を専門知識で解消する」がモットー。
なぜ2種類あるの?ジャーマン式とバロック式の決定的な違い
リコーダー選びで最初にぶつかる壁が、「ジャーマン式(ドイツ式)」と「バロック式(イギリス式)」という2つの規格の存在です。
この2つは、歴史的な背景から「運指(指使い)」が根本的に異なる競合関係にあります。
なぜ、わざわざ紛らわしい2種類があるのでしょうか。
それは、リコーダーという楽器の進化の歴史に理由があります。
もともと古くからあったのは「バロック式」です。
しかし、バロック式は「ファ」の音を出すときに、指を一つ飛ばして押さえる必要があり、初めて楽器に触れる子供たちには少し難しいという課題がありました。
そこで、20世紀初頭のドイツで「ドレミ……と順番に指を離すだけで吹けるように」と改良されたのが「ジャーマン式」なのです。
小学校3年生という、初めてリコーダーに触れる導入期において、この「指の届きやすさ」の差は非常に重要です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 小学校の授業用であれば、特別な指定がない限り「ジャーマン式」を選んでください。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、小学校の合奏は全員が同じ指使いであることを前提に進むからです。過去に「中学校でも使うから」と良かれと思ってバロック式を買い、授業で一人だけ指使いが周りと合わず、混乱して音楽が嫌いになってしまった子を何人も見てきました。まずは「みんなと同じ」でスタートすることが、お子さんの自信に繋がります。

【逆引き判定】学校プリントの「この言葉」があればジャーマン式!
「うちの学校の指定はどっち?」と迷ったら、手元のプリントをじっくり見てください。
専門用語が並んでいなくても、特定のキーワードが隠されているはずです。
ジャーマン式とバロック式は、楽器の裏側に刻印されたアルファベットでも見分けることができます。
以下のリストと照らし合わせて、正解を特定しましょう。
プリントの文言チェックリスト
- 「ジャーマン式」「ドイツ式」と書いてある → 100% ジャーマン式
- 「G」という記号がある → 100% ジャーマン式(Germanの頭文字)
- 「ソプラノリコーダー」とだけ書いてある → ほぼ間違いなく ジャーマン式(公立小の標準)
- 「バロック式」「イギリス式」「E」「B」と書いてある → バロック式(私立小や一部の熱心な学校に多い)
もしプリントに何も書かれておらず、学校の先生にも確認できない場合は、日本の公立小学校の標準である「ジャーマン式」を選んでおけば、まず間違いありません。

迷ったらこれ!ヤマハ vs アウロス 定番モデル比較表
種類が決まったら、次はメーカー選びです。
教育用リコーダーの世界では、ヤマハ(YAMAHA)とアウロス(AULOS)が2大標準ブランドとして君臨しており、この2社は品質・シェアともに双璧をなす存在です。
どちらを選んでも、音程の正確さや耐久性に問題はありませんが、わずかな音色の好みやデザインの違いがあります。
学校で一括購入されるのも、ほとんどがこの2社のいずれかのモデルです。
📊 比較表
【小学校3年生向け・失敗しない定番リコーダー比較】
| 項目 | ヤマハ (YRS-301III) | アウロス (502B / ベルカ) |
|---|---|---|
| 特徴 | 芯のある、明るく華やかな音色 | 柔らかく、深みのある落ち着いた音色 |
| 吹き心地 | 吹き心地が軽く、初心者でも音が鳴りやすい | わずかな抵抗感があり、音の強弱がつけやすい |
| 素材 | ABS樹脂(水洗いOK) | ABS樹脂(水洗いOK) |
| 付属品 | 布製ケース、掃除棒、指掛け、グリス | 合皮製ケース、掃除棒、指掛け、グリス |
| こんな子に | 元気に明るい音で吹きたい子に | 丁寧にしっとりとした音を楽しみたい子に |
どちらのメーカーも、授業で使うのに最適な「ABS樹脂」で作られています。
木製リコーダーは音が素晴らしい反面、割れやすく手入れが非常に難しいため、小学校の授業用には、落としても割れにくく丸洗いできる樹脂製がベストな選択です。
ネットで買うなら要注意!「名前」と「お下がり」の落とし穴
最後に、ネットで購入する際に多くの保護者が見落としがちな2つのポイントをお伝えします。
1. 「名入れ」の壁をどう乗り越えるか
学校での一括購入の最大のメリットは、本体に名前が直接彫られる「名入れ彫刻」です。
ネット購入ではこれができないことが多いため、対策が必要です。
リコーダーはみんな同じ形をしているので、名前がないと100%誰のものか分からなくなります。
ネットで買う場合は、凹凸部分にもしっかり貼れる「強粘着の名前シール」を用意し、さらにその上からセロハンテープで補強することをおすすめします。
2. 「お下がり」は本当に節約になる?
「私が昔使っていたリコーダーがあるから、それを使わせよう」と考える方もいらっしゃいます。
しかし、20年以上前のリコーダーには2つのリスクがあります。
一つは衛生面。
樹脂製とはいえ、内部の細かい傷に雑菌が繁殖している可能性があります。
もう一つはピッチ(音程)のズレです。
実は、昔のリコーダーと今の学校楽器では、基準となる音の高さ(ピッチ)が微妙に異なる場合があります。
合奏したときに「一人だけ音がズレている」という状況は、お子さんにとって意外とストレスになるものです。
1,000円〜2,000円程度の投資で、最新の清潔な楽器を用意してあげるのが、親としての賢い選択と言えるでしょう。
まとめ:自信を持って「これだよ」と渡せる1本を
リコーダー選びのポイントを振り返りましょう。
- 小学校3年生なら、まずは「ジャーマン式」をチェック。
- プリントの「G」や「ドイツ式」という言葉が決定打。
- メーカーは「ヤマハ」か「アウロス」の定番モデルを選べば100点満点。
これで、新学期の準備はバッチリですね!「学校指定と違ったらどうしよう」という不安はもう必要ありません。
お子さんが初めて手にする自分の楽器。
あなたが自信を持って選んだその1本が、お子さんの音楽の時間を楽しいものにしてくれるはずです。
さあ、安心してお買い物を済ませて、お子さんと一緒にドレミを吹く日を楽しみに待っていてくださいね!
[参考文献リスト]
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