【香典の書き方】筆ペンは薄墨?金額や名前、中袋のマナーを宗教別に完全解説

「急なお通夜・お葬式で、香典袋の書き方がわからない…」

「『御霊前』と『御仏前』、どっちを書くのが正解?」

いざという時に迷ってしまうのが、香典(不祝儀袋)の書き方です。

実は、故人の宗教や宗派によって表書きが異なったり、使うペンの種類に厳格なルールがあったりと、知らずに書くと失礼にあたるポイントがいくつかあります。

この記事では、香典袋の正しい書き方を徹底解説。

「表書き(宗教別)」「名前の書き方(連名・会社)」「中袋(金額の漢字)」まで、図解を見るように分かりやすくまとめました。

マナーを守って、故人を偲ぶ気持ちを正しく伝えましょう。

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1. 筆は何を使う?「薄墨(うすずみ)」のルール

香典を書く際、最初に気をつけなければならないのが「筆記用具」です。

通夜・告別式は「薄墨」を使う

四十九日までの不祝儀には、「薄墨(うすずみ)」と呼ばれる色が薄い筆ペンや毛筆を使います。

これには2つの意味が込められています。

  1. 「悲しみの涙で墨が薄まってしまった」
  2. 「突然のことで墨を磨る時間もなく駆けつけた」

コンビニや文具店で「弔事用(薄墨)」の筆ペンが売られていますので、必ずそちらを使用しましょう。

ボールペンやサインペンはマナー違反です。

中袋は「黒のペン」でもOK

外包みは薄墨がマナーですが、中に入っている「中袋(金額や住所を書く袋)」に関しては、普通の黒いペン(サインペンやボールペン)で書いても問題ありません。

遺族が後で集計する際、薄墨だと読みづらいため、ハッキリと読める黒字の方が親切とされています。

2. 【表書き】宗教・宗派で違う!「御霊前」の注意点

水引の上段に書く「表書き」。

「とりあえず『御霊前』でいいでしょ?」と思っていませんか?

実は浄土真宗ではNGなど、落とし穴があります。

仏教(仏式)の場合

  • 一般的: 「御霊前(ごれいぜん)」
    • 四十九日までは霊となると考えられているため。
  • 【要注意】浄土真宗: 「御仏前(ごぶつぜん)」
    • 浄土真宗では「亡くなるとすぐに仏様になる」という教えのため、「霊」という言葉は使いません。
  • 迷った時: 「御香典」または「御香料」
    • 宗派がわからない場合は、これらを書いておけば失礼になりません。

神道(神式)の場合

  • 「御玉串料(おたまぐしりょう)」
  • 「御榊料(おさかきりょう)」
  • 「御神前(ごしんぜん)」

キリスト教の場合

  • カトリック: 「御ミサ料」または「お花料」
  • プロテスタント: 「お花料(御花料)」
    • ※キリスト教では「御霊前」は使いません(カトリックのみ許容される場合あり)。迷ったら「お花料」が一番無難です。

3. 【名前】個人・夫婦・連名の書き方

水引の下段には、贈り主の名前を書きます。

個人の場合

  • 中央にフルネームで書きます。肩書きを入れる場合は、名前の右側に小さく添えます。

夫婦連名の場合

  • 夫の氏名を中央に書き、その左側に妻の名前(名のみ)を揃えて書きます。

3名までの連名

  • 目上の人を一番右(中央)にし、順に左へ書いていきます。
  • 立場が同等の場合は、五十音順で右から書きます。

4名以上の連名(職場・グループなど)

  • 中央に「〇〇一同」「株式会社〇〇 有志一同」と書きます。
  • 全員の名前は、別紙(白い紙)に書いて中袋に入れます。表書きに全員分を詰め込んで書くのはNGです。

4. 【中袋】金額の書き方と「大字(だいじ)」一覧表

お金を入れる中袋(中包み)。

ここには「金額」と「住所・氏名」を書きます。

金額を書く際は、改ざんを防ぐために「大字(だいじ)」と呼ばれる難しい漢数字を使うのが正式なマナーです。

金額の書き方(大字早見表)

中袋の表面中央に、縦書きで「金 〇〇圓(円)」と書きます。

通常の漢数字 大字(香典で使う漢字)
(または千)
(または円)
  • 例: 5,000円の場合 → 「金 伍仟圓」
  • 例: 10,000円の場合 → 「金 壱萬圓」
    • ※最後に「也(なり)」をつける必要は、現在はほとんどありません。

裏面には必ず住所を

中袋の裏面には、郵便番号、住所、氏名をハッキリと書きましょう。

ここが空欄だと、遺族がお礼(香典返し)をする際に困ってしまいます。

5. お札の入れ方にも向きがある?

最後に、お札の入れ方のマナーです。

  • お札の種類: 新札はNGです。「あらかじめ死ぬのを待っていた」と思わせるためです。新札しかない場合は、一度折り目をつけてから入れます。
  • お札の向き: 香典袋を開けた時に、お札の肖像画(顔)が裏側・下に来るように入れます。「顔を伏せる(悲しみで顔を上げられない)」という意味があります。

まとめ:マナーは「相手への思いやり」

香典の書き方について解説しました。

  1. 四十九日までは「薄墨」の筆ペンを使う。
  2. 浄土真宗なら「御仏前」、わからなければ「御香典」。
  3. 金額は「大字(壱、弐、参…)」で書く。
  4. 中袋には住所・氏名を忘れずに。

細かいルールが多くて大変ですが、これらはすべて「故人を敬い、遺族を気遣う」ための作法です。

正しい書き方で、心からの哀悼の意を伝えましょう。

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