「カフェインを控えなきゃ」と、大好きなお茶を我慢してストレスを感じていませんか?
特に初めての妊娠では、口にするものすべてが赤ちゃんの成長に影響しないか、不安になるのは当然のことです。
結論から申し上げます。
麦茶は100%ノンカフェインです。
お腹の赤ちゃんへの影響を心配する必要は全くありません。
なぜ麦茶だけが「絶対」と言い切れるのか。
その秘密は、他のお茶とは根本的に異なる「原料」にあります。
この記事では、産婦人科医の視点から、麦茶がノンカフェインである科学的根拠と、妊婦さんにこそ知ってほしい「鉄分吸収」や「血流改善」といった驚きのメリットを詳しく解説します。
この記事を読み終える頃には、あなたは今日からストレスなく、美味しい水分補給を楽しめるようになっているはずです。
[著者情報]
✍️ 執筆者プロフィール
高橋 陽子(産婦人科医・管理栄養士)
マタニティケア・クリニック院長。産婦人科医として15年、3,000人以上の妊婦さんの栄養指導に従事。「医学的エビデンスに基づいた正しい食事制限」を提唱し、著書『プレママのための安心食生活ガイド』は多くの妊婦さんに支持されている。自身も二児の母であり、妊娠中の不安に寄り添うアドバイスを信条とする。
「少しでも入っていたら…」と不安なあなたへ。麦茶が100%ノンカフェインである「証拠」
診察室で妊婦さんとお話ししていると、「先生、麦茶なら本当に大丈夫ですよね?」と、確認するように聞かれることがよくあります。
その時の皆さんの目は、少し不安そうです。
麦茶が100%ノンカフェインである最大の理由は、麦茶の原料が「お茶(茶葉)」ではなく「大麦(穀物)」だからです。
緑茶、紅茶、烏龍茶、ほうじ茶といった一般的な「お茶」は、すべて「チャノキ」という植物の葉から作られています。
このチャノキには、植物の特性として天然のカフェインが含まれています。
一方で、麦茶の原料である大麦は、トウモロコシや米と同じ「穀物」の仲間です。
穀物には、その種子の構造上、カフェインが一切含まれていません。
つまり、麦茶は製造工程でカフェインを取り除いたのではなく、「最初から一滴もカフェインが存在しない飲み物」なのです。
この原料の違いこそが、麦茶が妊婦さんにとって「絶対の安心」と言える科学的な証拠です。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 麦茶は「お茶」という名前ですが、医学的には「穀物抽出飲料」と考えるのが正解です。
なぜなら、この点は多くの人が見落としがちで、「お茶=カフェインがある」という先入観が不安を生んでいるからです。診察室でも「麦茶は穀物だから、お米を食べているのと同じくらい安心ですよ」とお伝えすると、皆さん一様にホッとされます。この「原料の違い」を理解することが、不安解消の第一歩です。
似ているようで全然違う!「ノンカフェイン」と「カフェインレス」の決定的な差
市販の飲み物には「ノンカフェイン」「カフェインレス」「デカフェ」といった様々な表記があり、混乱してしまう方も多いでしょう。
しかし、麦茶が冠する「ノンカフェイン」と、他の「カフェインレス」には、妊婦さんにとって見逃せない決定的な違いがあります。
「カフェインレス」や「デカフェ」は、もともとカフェインを含んでいる原料(コーヒー豆や茶葉)から、特殊な技術でカフェインを取り除いたものを指します。
現在の技術では、カフェインを100%完全に除去することは難しく、カフェインレス飲料にはごく微量のカフェインが残留している可能性があります。
一方で、麦茶のような「ノンカフェイン」飲料は、原料そのものにカフェインが含まれていないため、残留リスクがゼロです。
「微量なら大丈夫」と言われても、不安な時期にはその「微量」さえも気になってしまうものです。
麦茶であれば、世界保健機関(WHO)が定める妊婦のカフェイン摂取制限(1日300mg以下)を一切気にすることなく、喉が渇いた時に好きなだけ飲むことができます。
📊 比較表
【カフェインに関する用語の定義と残留リスクの比較】
| 用語 | 定義 | 残留リスク | 代表的な飲み物 |
|---|---|---|---|
| ノンカフェイン | 原料にカフェインが一切含まれない | なし(0mg) | 麦茶、ルイボスティー |
| カフェインレス | カフェインを90%以上除去したもの | ごく微量に含まれる | カフェインレスコーヒー |
| デカフェ | カフェインを添加しない、または除去したもの | ごく微量に含まれる | デカフェ紅茶 |
産婦人科医が麦茶を勧める「カフェインゼロ」以外の3つの理由
麦茶の魅力は、単にカフェインが入っていないことだけではありません。
実は、麦茶は妊娠中の身体のトラブルをサポートしてくれる「プレママの味方」とも言える飲み物なのです。
産婦人科医として、私が麦茶を特にお勧めする理由は以下の3点です。
1. 妊婦さんに大切な「鉄分」の吸収を妨げない
妊娠中は赤ちゃんに酸素を送るために、通常よりも多くの鉄分が必要です。
緑茶や紅茶に含まれる「タンニン」という成分は、食事に含まれる鉄分と結びついて吸収を阻害してしまいます。
しかし、麦茶はタンニンの含有量が極めて少ないため、食事中や食後に飲んでも鉄分の吸収を邪魔しません。
貧血になりやすい妊婦さんにとって、これは非常に大きなメリットです。
2. 香り成分「ピラジン」が血流を改善し、むくみをケアする
麦茶特有の香ばしい香りの正体は「アルキルピラジン」という成分です。
研究により、アルキルピラジンには血液をサラサラにし、血流を改善する効果があることが分かっています。
妊娠中期から後期にかけて多くの妊婦さんを悩ませる「足のむくみ」の対策として、麦茶での水分補給は非常に理にかなっています。
3. ミネラル補給で熱中症や足のつりを予防する
麦茶には、ナトリウムやカリウムといったミネラルが含まれています。
妊娠中は汗をかきやすく、ミネラルバランスが崩れると「足のつり(こむら返り)」の原因にもなります。
麦茶は水分と一緒に失われがちなミネラルを効率よく補給できるため、妊婦さんの体調管理に最適です。

プレママの疑問を解消!「飲みすぎはダメ?」「赤ちゃん用との違いは?」
最後に、診察室でよく受ける補足的な質問にお答えします。
Q. 麦茶を飲みすぎることによるデメリットはありますか?
A. 麦茶自体に害はありませんが、「冷やしすぎ」には注意してください。 妊娠中の胃腸は非常に敏感で、冷たい麦茶をガブガブ飲むと内臓が冷え、下痢や血行不良を招くことがあります。できるだけ常温、または温かい麦茶を飲むように心がけましょう。
Q. 市販のペットボトルの麦茶と、ベビー用の麦茶は何が違うのですか?
A. 基本的な成分は同じですが、ベビー用は苦味が抑えられ、より薄味に作られています。 また、市販のペットボトル飲料には保存料などの添加物が含まれている場合があります。妊婦さんが飲む場合は、できるだけ「無添加」や「国産大麦100%」と記載された、シンプルなものを選ぶとより安心です。
食品安全委員会のファクトシートによれば、カフェインは胎盤を通過し、胎児に移行することが知られています。胎児はカフェインを代謝する能力が低いため、過剰摂取には注意が必要ですが、麦茶のように原料からカフェインを含まない飲料は、このリスクを完全に回避できます。
出典: 食品中のカフェイン ファクトシート – 内閣府 食品安全委員会
まとめ
麦茶は、原料が大麦であることから100%ノンカフェインであり、妊娠中のどの時期においても「絶対の安心」を持って飲める飲み物です。
さらに、鉄分の吸収を妨げず、血流を改善する効果まである、まさにプレママのための「究極の水分補給」と言えます。
「何かを我慢する」マタニティライフは、心にも身体にも負担がかかります。今日からは、麦茶を賢く選んで、ストレスフリーで健やかな毎日を送りましょう。
あなたの安心した笑顔が、お腹の赤ちゃんにとっても一番の栄養になりますよ。
[参考文献リスト]
- 日本食品標準成分表2020年版(八訂) – 文部科学省
- 食品中のカフェインについて – 内閣府 食品安全委員会
- 麦茶の血流改善効果に関する研究 – 伊藤園 中央研究所
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