ビットコインがゼロになる確率は0.71%?専門家が教える「明日0円」にならない論理的根拠

「もし明日、ビットコインが0円になってしまったら、自分の貯金はどうなるんだろう……」

新NISAで投資の一歩を踏み出したあなたのような慎重派の方にとって、ビットコインの激しい値動きは「正体のわからない幽霊」のように不気味に映るかもしれません。

SNSでは「億り人」の夢が語られる一方で、ニュースでは「価値のない電子ゴミ」という過激な批判も飛び交います。

結論から申し上げます。

ビットコインが1年以内に消滅(ゼロに)なる確率は、統計学的なリスクモデルにおいて約 0.71% と算出されています。

これは、電気自動車大手テスラ社の株式が消滅する確率(2.2%)よりも低い数値です。

 

本記事では、暗号資産のリスクマネジメントを専門とする私の視点から、ビットコインが「明日突然0円」にならない論理的な裏付けと、万が一の事態に備えてあなたが見ておくべき「撤退のサイン」を解説します。

感情的な安心感ではなく、数字と事実に基づいた「論理的生存戦略」を一緒に確認していきましょう。


[著者情報]

市川 誠(いちかわ まこと)
暗号資産リスクマネジメント・アナリスト
外資系証券会社のリスク管理部門を経て独立。12年にわたり暗号資産市場のオンチェーンデータ分析と機関投資家向けのリスクモデル構築に従事。「投資は夢を見るものではなく、リスクを計算するもの」を信条に、初心者へ向けた誠実な情報発信を行っている。


「明日、貯金が紙屑になる?」初心者が抱くビットコインへの恐怖の正体

ビットコインに対して「実体がないから、ある日突然消えてしまうのではないか」という不安を抱くのは、投資家として極めて健全な防衛本能です。

多くの初心者が恐怖を感じる最大の理由は、ビットコインには日本銀行のような「価値を保証する中央組織」が存在しない点にあります。

あなたのように「誰かが裏切ったり、システムが止まったりしたら終わりだ」と考えるのは当然です。

また、最近では「量子コンピュータが完成したら暗号が解かれて無価値になる」といった高度な技術的脅威も、不安に拍車をかけています。

しかし、専門家の目から見ると、ビットコインは「幽霊」ではなく、極めて緻密に設計された「経済的な防壁」に守られたシステムです。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: ビットコインへの恐怖は「仕組みの理解不足」から来るものであり、まずは「誰が守っているか」ではなく「どんな経済原理が働いているか」に注目してください。

なぜなら、この点は多くの人が見落としがちですが、ビットコインは「善意」ではなく「参加者の利己心(儲けたいという欲求)」によってセキュリティが維持されるように設計されているからです。2014年のマウントゴックス事件当時、私も「これで終わりか」と思いましたが、システム自体は一度も止まることなく動き続けました。この「止まらない事実」こそが、最大の信頼の根拠なのです。


なぜビットコインは「0円」にならないのか?価値を支える3つの鉄壁の仕組み

ビットコインが「明日突然0円」になることを防いでいるのは、単なる期待感ではありません。

以下の3つの論理的な柱が、ビットコインの価値を物理的・経済的に支えています。

1. 0.71%という「消滅確率」の正体

世界最大級の資産運用会社であるFidelity(フィデリティ)のリスクモデルを基にした分析によれば、ビットコインの年間消滅確率は約 0.71% です。

比較対象として、米国を代表する企業であるテスラ株の消滅確率は2.2%であり、統計上、ビットコインは一部の上場企業よりも「生き残る可能性が高い資産」と見なされています。

2. 50億ドルの「物理的な防壁」

ビットコインを不正に操作したり破壊したりするには、ネットワーク全体の計算力の過半数を支配する「51%攻撃」が必要です。

しかし、現在この攻撃を実行するには、専用の計算機(ASIC)の購入費用だけで50億ドル(約7,500億円) 以上の設備投資が必要となります。

さらに、膨大な電気代もかかります。

攻撃者は、これほどの巨費を投じてビットコインを破壊するよりも、その計算力を使って正直にビットコインをマイニング(採掘)する方が遥かに大きな利益を得られる「ナッシュ均衡」という経済状態にあります。

3. 「制度化」による価格の下支え

2024年、米国で「現物ビットコインETF」が承認されたことは、ビットコインの歴史における転換点となりました。

ブラックロックのような世界最大の資産運用会社がビットコインを公的な金融商品として扱い始めたことで、ビットコインは「怪しいネットのコイン」から「公的な投資対象」へと昇格しました。

この「制度化」が、価格がゼロになることを防ぐ強力なフロア(下限)として機能しています。


投資を始める前に知っておくべき「撤退のサイン」と慎重派のための生存戦略

「ゼロになる確率は低い」とはいえ、リスクはゼロではありません。

あなたのような慎重派の投資家が、自分の資産を守るために監視すべき「真の危機」の予兆を整理しました。

1. ステーブルコインの崩壊(デペグ)

米ドルと同じ価値を持つように設計された「ステーブルコイン(USDTやUSDCなど)」の価格が、米ドルから3%以上乖離し、12時間以上回復しない場合は要注意です。

これは市場の血流が止まる予兆であり、一時的な撤退を検討すべきサインとなります。

2. 機関投資家の大量流出

現物ビットコインETFへの資金流入が止まり、週単位で12億ドルを超える流出が3週連続で続くような事態は、プロの投資家がビットコインの将来性に見切りをつけた可能性を示唆します。

📊 比較表
「健全な価格調整」と「市場崩壊の予兆」の見分け方】

項目 健全な調整(ホールド推奨) 崩壊の予兆(撤退を検討)
価格変動 数日で10〜20%の下落 根拠のない急落が1週間以上続く
ステーブルコイン 1ドル=1ドルを維持 1ドル=0.97ドル以下に下落(デペグ)
機関投資家の動き 一時的な利益確定売り ETFからの記録的な資金流出の継続
規制ニュース 特定の国での一部制限 主要先進国による全面的な取引禁止

3. 慎重派のための「1%生存戦略」

あなたにおすすめしたいのは、「全財産の1%だけをビットコインに割り当てる」という戦略です。

もしビットコインが予想に反してゼロになったとしても、資産の99%は守られます。

一方で、ビットコインが過去のように数倍に成長すれば、資産全体のリターンを大きく押し上げます。

「ゼロになっても生活が壊れない金額」で始めることこそが、最強のリスク管理です。


【Q&A】量子コンピュータや政府の規制で本当にゼロになりませんか?

Q: 量子コンピュータが完成したら、ビットコインの暗号は一瞬で解かれて価値がゼロになりませんか?

A: 理論上のリスクはありますが、現実的にはまだ先の話です。現在のビットコインの暗号を解くには約100万量子ビットの性能が必要とされていますが、現在の最新機は数百量子ビット程度です。到達には少なくとも10〜15年はかかると予測されており、その間にビットコイン側も「量子耐性」を持つアルゴリズムへアップデートすることが計画されています。

 

Q: 日本政府がビットコインを禁止したら、価値はゼロになりますか?

A: 日本一国が禁止しても、ビットコインの価値がゼロになることはありません。ビットコインは世界中で取引されており、すでに米国ではETFを通じて公的な資産として認められています。一国の規制よりも、世界的な「制度化」の流れの方が現在は強力です。


まとめ

ビットコインは、実体のない「幽霊」ではなく、0.71%という計算されたリスクと、50億ドルの物理的コストに裏打ちされた「緻密な経済システム」です。

リスクをゼロにすることは誰にもできません。

しかし、「どの程度のリスクがあるのか」を正しく測り、コントロールすることは可能です。

「明日0円になる恐怖」でチャンスを逃すのではなく、まずは余剰資金の1%から、この新しい経済システムに触れてみてはいかがでしょうか。

リスクを正しく理解した上での一歩は、あなたの将来の資産形成において、大きな意味を持つはずです。


[参考文献リスト]

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