ビジネスメールや日常生活でよく目にする「以降(いこう)」という言葉。
例えば、「4月1日以降にお知らせします」と言われたとき、「4月1日に連絡が来るの?それとも4月2日なの?」と迷ったことはありませんか?
約束の日時や期限に関わる重要な言葉だけに、勘違いはトラブルのもとです。
結論から言うと、「以降」は基準となる日時を「含みます」。
この記事では、「以降」の正しい意味と範囲、そして相手に誤解させないためのビジネス上のテクニックについて解説します。
1. 結論:「以降」は基準点を「含む」
最も重要なポイントですので、最初に覚えましょう。
「以降」という言葉は、その基準となる時点を「含んで」それより後という意味です。
具体的な例
- 「10日以降」
→ 10日を含みます(10日、11日、12日…)。 - 「13時以降」
→ 13時を含みます(13時ちょうど、13時1分…)。 - 「Aさん以降」
→ Aさんを含みます(Aさん、Bさん、Cさん…)。
数学の記号で表すと「≧(以上)」と同じイメージです。
漢字に「以(もっ)て」が使われている場合(以上、以下、以前、以後など)は、基本的にその基準点を含むと覚えておくと便利です。
2. よく似た言葉との違い:「以後」「以来」
「以降」と混同しやすい言葉に「以後(いご)」や「以来(いらい)」があります。
これらも基準点を含む言葉ですが、使われるニュアンスが少し異なります。
「以後(いご)」との違い
- 以降:ある時点から先のこと。過去から未来まで幅広く使われます。「明日以降」など具体的日時とセットで使われることが多いです。
- 以後:意味は「以降」とほぼ同じで、基準点を含みます。しかし、「今後」「これから先ずっと」というニュアンスが強く、「以後、気をつけます」のように使われることが多いです。
「以来(いらい)」との違い
- 以来:ある時点から現在までずっと続いていること。基準点を含みます。
- 例:「卒業して以来、会っていない」(卒業した日から今まで)
- 注意点:「以来」は過去から現在の話に使い、未来の話には使いません。
基準点を含まない言葉は?
逆に、基準となる日時を含まない(除外する)場合は、以下の表現を使います。
- 「〜より後(あと)」
- 例:「10日より後」→ 11日から(10日は入らない)
- 「〜を過ぎてから」
- 例:「13時を過ぎてから」→ 13時01分〜(13時ちょうどは微妙なラインになります)
3. ビジネスで「含む」かどうか迷わせないためのコツ
「以降」は文法的に「その日時を含む」のが正解です。
しかし、相手もそのルールを正しく理解しているとは限りません。
「10日以降にお支払い」と伝えて、相手が「11日からでいいんだな」と勘違いした場合、トラブルになる可能性があります。
ビジネスシーンでは、以下のように「含む」ことを明記するか、別の表現を使うのがSEO(検索エンジン最適化)ならぬ「CEO(コミュニケーション円滑化)」の秘訣です。
誤解を防ぐメールの書き方例
【パターンA:カッコ書きで補足する】
「4月1日以降(当日を含む)にご連絡いたします。」
「13時以降(13時開始)で会議室を予約しました。」
【パターンB:言葉を言い換える】
「4月1日から受付を開始します。」
「4月2日より前にご提出ください。」
特に契約書や締め切りなど、1日のズレが命取りになる場合は、「以降」だけに頼らず具体的に書くことをおすすめします。
4. まとめ
今回のキーワード「以降」「含む」についてのまとめです。
- 「以降」は基準となる日時を「含む」!(1日以降なら1日もOK)
- 「以上・以下・以前・以後」など「以」がつく言葉は基本的に含む。
- ビジネスでは相手の勘違いを防ぐために「(〜を含む)」と書き添えるのがベスト。
言葉の定義を正しく理解して、スムーズなコミュニケーションを目指しましょう。
スポンサーリンク