「来週末のキャンプで、子供と一緒にパラコードブレスレットを作ろう」
そう思って手に入れた色鮮やかなパラコード。
しかし、いざYouTubeの解説動画を再生してみると、あまりの指の動きの速さに絶望していませんか?
一時停止を繰り返し、画面を食い入るように見つめても、自分の手元にある紐が今「上を通っているのか、下を通っているのか」が分からなくなる。
不器用な自分には無理だったのかと、諦めかけているあなたのようなお父さんにこそ、この記事を捧げます。
パラコード編みは、センスや器用さが必要な「手芸」ではありません。
実は、特定のルールに従って紐を動かすだけの「論理的なアルゴリズム」なのです。
この記事では、元システムエンジニアの私が、感覚を一切排除した「Pの字アルゴリズム」という独自の視点で、平編み(コブラステッチ)を解説します。
この記事を読み終える頃には、佐藤さんは迷うことなく手を動かし、15分後にはお子さんの前で「パパ、すごい!」と言われる完璧なブレスレットを完成させているはずです。
[著者情報]
執筆者:ケン(パラコード・クラフト・エンジニア)
元システムエンジニア。IT業界で培った論理的思考をアウトドアに応用し、「不器用な人専用」のパラコード術を提唱。ワークショップでは「動画より分かりやすい」とエンジニア層から絶大な支持を得る。
読者へのスタンス: 編めないのはセンスのせいではなく、解説の論理不足。エンジニア視点で、あなたの「迷い」をゼロにします。
なぜ動画は分かりにくいのか?初心者が陥る「左右の迷子」の正体
動画解説には、静止画にはない「動き」の良さがありますが、初心者が挫折する最大の原因もそこにあります。
動画は「状態」ではなく「遷移」を映し続けるため、不器用な人が最も知りたい「今、紐がどのレイヤー(階層)に位置しているか」という構造的な把握が困難なのです。
特に、パラコード編みの基本である「平編み(コブラステッチ)」において、多くの人が「次は右が上か、左が上か」という条件分岐で迷子になります。
これは、動画が「右・左」という相対的な視点だけで進むため、脳内での状態保持(スタック)が追いつかなくなるからです。
私が多くの初心者を指導して気づいたのは、「動画を止めるストレス」が集中力を削ぎ、結果として結び目を歪ませるという事実です。
論理的な思考を好む方には、動画を追うよりも、自分のペースで構造を確認できる「自分視点(POV)の図解」の方が、圧倒的に習得スピードが速いのです。
【UVP】迷いをゼロにする「Pの字アルゴリズム」:平編みの全工程POV図解
平編み(コブラステッチ)を攻略する鍵は、左右交互という曖昧な記憶に頼らず、「アルファベットの『P』と数字の『4』を作る」という視覚的なアルゴリズムに変換することです。
この「Pの字アルゴリズム」は、平編みの工程を論理的に言語化したもので、以下の3ステップを繰り返すだけで完成します。
- 右の紐で「P」の字を作る: 芯(コア)の上に右の紐を重ね、アルファベットの「P」の形を作ります。
- 左の紐を重ねてくぐらせる: 「P」の上に左の紐を重ね、そのまま芯の下をくぐらせて「P」の輪の中から引き出します。
- 次は左で「4」の字を作る: 左右を入れ替え、今度は左の紐で数字の「4」の形を作り、同様に右の紐をくぐらせます。
この「P」と「4」のループこそが、平編みの正体です。

準備で勝負は決まる!100均コード対応「1:12の長さ計算表」
「せっかく編み始めたのに、最後で紐が足りなくなった」
これは初心者にとって最も避けたいバグ(失敗)です。
パラコード編みには、「1:12の法則」という鉄則があります。
これは、「1インチ(約2.5cm)の完成品を作るのに、1フィート(約30cm)の紐が必要」という、編み込みによる収縮率を計算した黄金比です。
あなたが100均(ダイソーやセリアなど)で購入したパラコードは、一般的に3mまたは5m単位で販売されています。
この限られたリソースを無駄にしないために、以下の比較表を参考に「要件定義(事前の長さ計算)」を行ってください。
【100均パラコード(3m)で作れるアイテム早見表】
| アイテム名 | 完成サイズ(目安) | 必要なコード長 | 3mコードでの作成可否 |
|---|---|---|---|
| 子供用ブレスレット | 14cm | 約1.8m | 可能(余裕あり) |
| 大人用ブレスレット | 17cm | 約2.2m | 可能(1本で完結) |
| キーホルダー | 7cm | 約1.0m | 可能(3個作成可) |
| 犬の首輪(中型犬) | 35cm | 約4.5m | 不可(5mコードが必要) |
※「1:12の法則」に基づき、芯(コア)の長さと末端処理分を含めて算出しています。
プロの仕上がりを作る「焼き止め」の極意:焦がさないための青い炎活用術
ブレスレットが編み上がっても、最後の手順である「焼き止め(シンジング)」で失敗すると、見た目が一気に安っぽくなってしまいます。
特に、ライターの火を直接当てすぎて、紐の端が黒く焦げてしまうのは初心者が最も陥りやすい失敗パターンです。
ここでエンジニア的な視点を取り入れましょう。
ライターの炎は、オレンジ色の「外炎」と、根元の「青い炎(内炎)」で温度が異なります。
「青い炎」は温度が安定しており、紐を焦がさずに「溶かす」のに最適なのです。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 焼き止めは「焼く」のではなく、青い炎の熱で「溶かして接着する」イメージで行ってください。
なぜなら、オレンジ色の炎は不完全燃焼による煤(すす)を含んでおり、これが紐を黒く汚す原因になるからです。一方、根元の青い炎を2〜3秒近づけるだけで、パラコードの芯と外装が綺麗に一体化し、プロのような透明感のある仕上がりになります。この小さなこだわりの差が、キャンプ場で「それ、本当に自作?」と聞かれるクオリティを生むのです。
まとめ:来週末、キャンプ場で「パパすごい」と言われるために
不器用だと思い込んでいた佐藤さん、いかがでしたか?
パラコード編みは、決して魔法のような指さばきが必要なものではありません。
- 「Pの字アルゴリズム」で論理的に手を動かす。
- 「1:12の法則」で事前に材料を計算する。
- 「青い炎」で美しく仕上げる。
この3つのステップさえ守れば、動画の速さに翻弄される必要はありません。
来週末のキャンプ。
焚き火の傍らで、あなたが迷いなくパラコードを操り、お子さんの手首にぴったりなブレスレットをはめてあげる。
その時、お子さんの目に映るのは、どんなトラブルも論理的に解決してしまう「最高に頼れるパパ」の姿です。
まずは手元にある3mの紐を手に取り、最初の「Pの字」を作ってみることから始めてみましょう。
[参考文献リスト]
- パラコードの編み方まとめ – Polalop, 2023年参照
- パラコードブレスレットの作り方 – BE-PAL (小学館), 2022年公開
- パラコードの基本:1:12の法則について – Polalop, 2023年参照
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