海外クライアントへの重要なメール。
システム遅延の理由を説明するために「The delay was due to…」と書き始めたものの、ふと手が止まる。
「ここは because of の方が正しいのではないか?」「文頭に Due to を持ってくるのは失礼にあたらないか?」……。
送信ボタンを前にして、自分の英語が「教養のない表現」に見えていないか不安になる。そんな経験はありませんか?
結論から申し上げます。
難しい文法用語を覚える必要はありません。
「due to」を「caused by」に置き換えてみてください。
意味が通れば「due to」で正解、不自然なら「because of」を選ぶ。
これだけで、あなたの英文の品格は劇的に向上します。
本記事では、私が外資系企業の法務渉外として15年間、数千通の交渉メールを通じて実践してきた「迷いを消す鉄則」を、具体的なテンプレートと共に分かち合います。
[著者情報]
有坂 健治 (Kenji Arisaka)
ビジネス英語コミュニケーション・ストラテジスト。元外資系IT企業・法務渉外担当。15年にわたり国際ビジネス交渉の最前線でメール監修を行い、現在は企業の英語リスクマネジメントを支援。「通じる英語」の先にある「信頼される英語」を追求している。
なぜ「due to」で迷うのか?ビジネス英語で恥をかかないための基礎知識
「意味はどちらも『〜のために』なのだから、どちらを使っても通じるはずだ」。
かつての私も、そう自分に言い聞かせていました。
しかし、ある時ネイティブの法務担当から受けた指摘が、私の考えを根底から変えました。
「有坂、君の書く Due to は、時として文脈に馴染んでいない。内容は正しいが、読み手に『おや?』と思わせる違和感があるんだ」と。
ビジネスにおいて、この「おや?」という小さな違和感は、プロフェッショナルとしての信頼性に直結します。
特に、遅延の報告やトラブルの謝罪といったデリケートな場面では、言葉の選択一つが「細部への配慮」として評価されるからです。
実は、due to と because of は、文法上の役割(エンティティの関係性)が明確に異なります。
前者は名詞を修飾する「形容詞」のような性質を持ち、後者は動作を説明する「副詞」のような性質を持っています。
この違いを感覚ではなく、論理的な「仕組み」として理解することが、迷いを断ち切る第一歩となります。
【決定版】3秒で判定!「caused by」置換テストの使い方
文法用語としての「形容詞的用法」や「副詞的用法」を覚える必要はありません。
実務で使える最もシンプルで強力な判定基準、それが「caused by 置換テスト」です。
due to と caused by は、どちらも名詞を修飾する性質を持つ「競合・類似エンティティ」の関係にあります。
そのため、以下の手順で入れ替えてみるだけで、正誤が瞬時に判明します。
due toを使いたい箇所を、頭の中でcaused byに書き換える。- 文章として意味が通れば、
due toを使うのが正解。 - もし不自然(動詞を修飾している)なら、
because ofを選択する。
例えば、「The cancellation was due to heavy rain.(中止は豪雨によるものだった)」という一文。
これを「The cancellation was caused by heavy rain.」と書き換えても、意味は完璧に通じます。
したがって、ここでは due to が正解です。
一方で、「We cancelled the event due to heavy rain.(豪雨のためイベントを中止した)」はどうでしょうか。
「We cancelled the event caused by heavy rain.」とすると、「豪雨によって引き起こされたイベントを中止した」という奇妙な意味になってしまいます。
この場合は、動作(中止した)の理由を説明する because of を使うのが適切です。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 迷ったら「be動詞の直後」以外では due to を使わない、と決めてしまうのも一つの手です。
なぜなら、この点は多くの学習者が最も躓くポイントであり、実務上
due toが最も美しく収まるのはThe [名詞] was due to...という形だからです。この「黄金パターン」さえ守れば、厳格なネイティブの読み手からも「教養ある英語」として一目置かれるようになります。
文頭の「Due to」はNG?プロが実践する「Owing to」への書き換え術
「文頭で Due to... と始めてはいけない」というルールを聞いたことがあるかもしれません。
現代の英語では、文頭での使用も広く許容されるようになっていますが、フォーマルなビジネス文書や、保守的なクライアントを相手にする場合は、依然として注意が必要です。
もし、文頭で理由を述べたい(副詞的に使いたい)けれど、because of では少しカジュアルすぎると感じるなら、「Owing to」というエンティティを検討してください。
Owing to は due to の「上位互換(フォーマル版)」としての関係性を持ちます。
文頭に置いても文法的な批判を受けにくく、かつ due to よりも「格」の高い、洗練された印象を与えます。
- △ 許容されるがリスクあり: Due to the system failure, the report will be delayed.
- ◎ プロフェッショナルで安全: Owing to the system failure, the report will be delayed.
このように、状況に応じて表現の「格」を使い分けることが、ビジネスにおけるリスク管理の一環となります。
そのまま使える!ビジネスシーン別「理由・原因」の鉄板フレーズ集
最後に、プロジェクトマネージャーが直面しやすい3つのシーン別に、due to と because of を正しく使い分けたテンプレートを紹介します。
【ビジネスシーン別・理由説明の鉄板テンプレート】
| シーン | 推奨される表現 | 具体的な例文 | 活用のポイント |
|---|---|---|---|
| 謝罪(遅延) | due to (be動詞の後) | The delay in shipment was due to a logistics issue. | 「遅延=物流問題」という名詞同士を直結させ、客観性を出す。 |
| 報告(成果) | because of (文末) | Our team achieved the goal because of your support. | チームの「達成」という動作の理由を強調し、感謝を伝える。 |
| 提案(根拠) | Owing to (文頭) | Owing to the market trend, we recommend this plan. | 文頭に置くことで、提案の根拠に重みとフォーマルさを加える。 |
まとめ: 「正しい英語」はあなたの信頼を守る武器になる
「送信ボタンを押す前の数秒間の迷い」は、あなたがプロフェッショナルとして相手を尊重し、自分の仕事に責任を持っている証拠です。
今回お伝えした「caused by 置換テスト」を武器にすれば、もう due to の使い方で指を止める必要はありません。
文法的な正当性は、あなたの言葉に説得力を与え、クライアントとの信頼関係をより強固なものにしてくれるはずです。
自信を持って、そのメールを送り出してください。
あなたのプロフェッショナリズムは、必ず相手に伝わります。
[参考文献リスト]
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“Due to” is an adjective and should modify a noun. “Because of” is an adverb and should modify a verb.
出典: Is it ‘due to’ or ‘because of’? – Merriam-Webster
- Oxford Learner’s Dictionaries – due to
- Purdue OWL: Adjectives and Adverbs – Purdue University
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