「概要(がいよう)」という言葉。
ビジネスシーンや学校のレポート作成などで「概要をまとめておいて」と言われ、少し戸惑ったことはありませんか?
「あらすじ」や「要約」と似ていますが、実は明確な使い分けがあります。
この記事では、「概要とは」という基本的な意味から、類語との違い、そして相手に伝わる「良い概要」の書き方までを徹底解説します
言葉の定義を正しく理解して、スムーズなコミュニケーションを目指しましょう。
概要とは?言葉の正しい意味
まず、辞書的な意味を確認してみましょう。
「概要」とは、物事の「大まし(おおまし)」や「あらまし」を指す言葉です。
簡単に言うと、「全体の大まかな内容」や「要点だけを抜き出した全体像」のことです。
細かい詳細やプロセスは省き、「結局、何なのか?」「全体としてどういう構成なのか?」を短くまとめたものを指します。
- 英語表現: Overview, Outline, Summary
- 使用シーン: 会社概要、事業概要、論文の概要、製品概要など
「概要」と似た言葉の違い(あらすじ・要約・レジュメ)
「概要」とよく混同される言葉に「あらすじ」「要約」「レジュメ」があります。
それぞれの違いを明確にしておきましょう。
1. 概要 vs あらすじ
「あらすじ」は、主に小説、映画、ドラマなどの「ストーリー(物語)」の流れを短くまとめたものです。
- 概要: 事実や情報を客観的にまとめたもの(ビジネス・学術寄り)
- あらすじ: 物語の展開や感情の動きを含めてまとめたもの(エンタメ・文学寄り)
2. 概要 vs 要約
ここが一番迷いやすいポイントです。
「要約」は文章全体を縮約(短く)したものです。
- 概要: 全体の構造やスペック(仕様)などの「枠組み」を説明するもの。文章になっていないリスト形式の場合もあります。
- 要約: 元の文章の論旨を変えずに、短く文章でまとめたもの。
例えるなら、本の紹介をする際、
「この本はミステリー小説で、全5章構成、価格は1500円です」というのが概要。
「犯人は実は主人公で、動機は〜」と内容を短く語るのが要約です。
3. 概要 vs レジュメ
「レジュメ」は、発表や会議の際に配られる「要約資料」のことです。
概要や要約を箇条書きなどで見やすく整理した「配布物」そのものを指すことが多いです。
ビジネスにおける「概要」の使われ方
ビジネスシーンでは、以下のような場面で「概要」が使われます。
いずれも「忙しい相手に、短時間で全体像を理解してもらう」ために存在します。
会社概要
企業の基本情報をまとめたものです。
- 会社名
- 代表者名
- 所在地
- 資本金
- 事業内容
など、事実情報が羅列されます。
事業概要・プロジェクト概要
企画書などで必須の項目です。
「何をするプロジェクトなのか」「目的は何か」「ターゲットは誰か」といった、企画の骨組みを伝えます。
わかりやすい「概要」の書き方 3つのコツ
「概要を書いて」と言われた時に、質の高いアウトプットを出すためのポイントを3つ紹介します。
1. 5W1Hを意識して「骨組み」を作る
概要は「全体像」を見せるものです。
情報の抜け漏れを防ぐために、5W1H(いつ、どこで、だれが、何を、なぜ、どのように)を埋めるように情報をピックアップしましょう。
2. 形容詞や感情を省き、客観的事実を書く
「とても素晴らしい」「画期的な」といった主観的な表現は、概要には不要です。
「売上が20%向上する」「業界初の機能を搭載」など、具体的な事実や数字を中心に構成します。
3. 結論(一番大事なこと)を最初に持ってくる
読み手は「それが何なのか」を一番知りたいはずです。
「本プロジェクトは、〇〇を解決するための△△システム開発案件です」のように、一言で表す定義から始めましょう。
【例文】悪い概要と良い概要
ある新商品の「商品概要」を書く場合の例を見てみましょう。
悪い例(詳細すぎる・情緒的)
この商品は、開発部が3年の歳月をかけて苦労して作った自信作です。従来のものよりもすごく軽くて、使っていて疲れません。色は赤と青があって、とても綺麗な色味に仕上がっています。多くの人に使ってほしいです。
(ダメな理由)
感情的で、具体的なスペック(数値)がなく、全体像が把握しにくい。
良い例(簡潔・客観的)
【商品概要】
- 商品名: スーパーライトX
- 特徴: 従来比20%の軽量化を実現した、長時間作業向けツール。
- 開発期間: 3年
- カラー展開: レッド、ブルーの2色
- ターゲット: 30代〜40代の専門職
(良い理由)
箇条書きを活用し、必要な情報が一目でわかるようになっている。
まとめ:概要とは「全体像の地図」である
「概要とは」について解説してきました。
- 概要=物事の全体像、大まかな内容(スペックや構造)
- あらすじ=物語の流れ
- 要約=文章の短縮版
概要を作成する際は、相手に「全体像の地図」を渡すイメージを持つことが大切です。
細かい道順(詳細)を説明する前に、まずは地図(概要)を見せて、「これからこういう話をしますよ」と伝えてあげましょう。
このスキルは、プレゼン資料作成や報連相(ホウレンソウ)など、あらゆるビジネスシーンで役立ちます。
ぜひ意識して使ってみてください。
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