日光東照宮「三猿」の本当の意味とは?8枚の彫刻が語る「猿の一生」を子供に教える完全ガイド

「日光東照宮へ家族旅行に行くけれど、有名な三猿(さんざる)を子供にどう説明したらいいかしら?」

そんな悩みをお持ちのお母さんは少なくありません。

「見ざる・言わざる・聞かざる」という言葉は知っていても、なぜ日光東照宮にお猿さんがいるのか、そして本当は何を伝えようとしているのかを詳しく知る機会は意外と少ないものです。

実は、日光東照宮の三猿は、単体で存在しているわけではありません。

三猿は、人間の一生を猿になぞらえて描いた「全8枚の連作彫刻」の、ほんの序章に過ぎないのです。

この記事では、年間100組以上の親子を案内してきた歴史文化ストーリーテラーの視点から、三猿の本当の意味と、お子さんの心に響く「猿の一生」の物語を分かりやすく解説します。

この記事を読み終える頃には、現地でお子さんと一緒に彫刻を指差しながら、感動を分かち合えるようになっているはずです。


[著者情報]

結城 陽子(ゆうき ようこ)
歴史文化ストーリーテラー / 親子向け日光ガイドアドバイザー。
難解な歴史を「家族の物語」として翻訳し、親子の対話を支援する専門家。日光東照宮の彫刻に込められた精神性を、現代の育児に活かす独自のガイド手法が好評。


なぜ馬小屋に猿がいるの?知っておきたい「三猿」の意外な背景

日光東照宮の表門をくぐってすぐ左手に見える、素木造りの建物が「神厩舎(しんきゅうしゃ)」、つまり神様に仕えるお馬さんの家です。

なぜ、お馬さんの家に猿の彫刻が施されているのでしょうか。

古来より、日本や中国では「猿は馬の健康を守り、病気を治す守護神である」という信仰がありました。

この「猿と馬の守護関係」に基づき、日光東照宮の神厩舎には猿の彫刻が施されたのです。

神厩舎に彫られた猿たちは、ただの飾りではありません。

当時の人々は、猿の姿を通じて「人間がいかに生きるべきか」という教訓を表現しました。

特に日光東照宮の神厩舎にある猿の彫刻は、全部で8枚あり、それらすべてを繋げると「猿の一生(=人間の一生)」という壮大なストーリーが浮かび上がってきます。

✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス

【結論】: お子さんには「ここは神様のお馬さんの家なんだよ。お猿さんはお馬さんを守るヒーローなんだって!」と伝えてみてください。

なぜなら、いきなり「神厩舎」や「守護神」という難しい言葉を使うよりも、子供にとって身近な「お家」や「ヒーロー」という言葉を使うことで、彫刻への興味が一気に高まるからです。この導入があるだけで、その後の物語への食いつきが全く違ってきます。


三猿は物語の序章!全8枚の彫刻でたどる「猿の一生」ストーリー

日光東照宮の三猿は、全8枚からなる連作の「2枚目」にあたります。

この「三猿と8枚の連作」という関係性を知ることで、観光の質は劇的に変わります。

猿の一生は、以下の流れで描かれています。

  1. 誕生: お母さん猿が遠く(子供の将来)を見つめ、子猿が信頼しきって寄り添う場面。
  2. 幼少期(三猿): 「見ざる・言わざる・聞かざる」。悪いものに触れず、素直に育つ時期。
  3. 独り立ち: ひとりぼっちで座り、将来への不安や希望を抱く時期。
  4. 志: 青雲の志を抱き、天を仰ぐ時期。
  5. 挫折と友情: 崖っぷちに立たされるが、友人が励ましてくれる時期。
  6. 恋: 恋に悩み、物思いにふける時期。
  7. 結婚: 二人で荒波を乗り越えていく決意をする時期。
  8. 妊娠: お腹が大きくなり、また次の世代(1枚目)へと繋がっていく。

このように、日光東照宮の猿の彫刻は、誕生から親になるまでのサイクルを描いています。

有名な三猿は、その中でも「子供の時期」を象徴しているのです。

神厩舎の長押(なげし)には、猿の彫刻が8面あり、人間の一生を風刺したものと言われています。
出典: 神厩舎・三猿 – 日光東照宮公式サイト


親子で感動!「見ざる・言わざる・聞かざる」を子供に分かりやすく伝える3つのコツ

さて、いよいよ三猿の前でお子さんに解説する時のポイントです。

単に「悪いことを見ちゃダメ」と教えるよりも、親の愛情を感じられる伝え方をしてみましょう。

1. 「禁止」ではなく「守られている」と伝える

「見ちゃダメ!」と禁止されると、子供は反発したくなるものです。

そうではなく、「お父さんやお母さんは、あなたがまだ小さいうちは、怖いものや悲しいものを見せないで、楽しいことや綺麗なものだけで心を満たしてあげたいと思っているんだよ」と伝えてみてください。

三猿は、「親が子供を守る環境づくり」の象徴なのです。

2. クイズ形式で観察する

「次のお猿さんは何をしているかな?」と、8枚の彫刻を順番に見ていきましょう。

「あ、このお猿さんは泣いてるのかな?」「こっちはお友達が励ましてるね!」と、お子さん自身の言葉で物語を作らせてあげてください。

3. 現代の言葉に置き換える

「言わざる」は「お友達が嫌がることは言わないようにしようね」、「聞かざる」は「悪口が聞こえてきても、気にしなくていいんだよ」というように、学校生活で役立つアドバイスに変換してあげると、お子さんの心に深く残ります。

📊 比較表
【子供への伝え方:NG例とおすすめ例】

項目 NGな教え方(道徳的強制) おすすめの伝え方(親子の対話)
見ざる 「悪いものを見たらダメ!」 「今は綺麗なものをたくさん見て、心をキラキラにしようね」
言わざる 「嘘や悪いことを言っちゃダメ!」 「お友達が嬉しくなるような、優しい言葉をたくさん使おうね」
聞かざる 「人の悪口を聞いちゃダメ!」 「悲しい噂話は聞き流して、楽しい音楽や笑い声に耳を傾けようね」
全体の意味 「猿が教訓を教えてくれている」 「お父さんとお母さんは、あなたがこう育ってほしいと願っているよ」

三猿にまつわるQ&A:英語で何て言う?海外にもあるの?

お子さんから「これって日本だけなの?」と聞かれた時のために、少しだけ豆知識を持っておきましょう。

Q: 三猿は英語で何て言うの?

A: 英語では “Three Wise Monkeys”(三匹の賢い猿)と呼ばれます。それぞれ “See no evil, hear no evil, speak no evil” と表現されます。海外では「知恵のある猿」として尊敬の対象になっていることが多いんですよ。

 

Q: 三猿のルーツはどこ?

A: 三猿の考え方は、古代エジプトや中国の『論語』にも似た教えがあります。シルクロードを通って日本に伝わり、日光東照宮で「猿の一生」という独自の物語として完成しました。世界中で愛されているポピュラーなシンボルなのです。


まとめ:三猿は「親が子を想う心」そのもの

日光東照宮の三猿は、単なる古い彫刻ではありません。

それは、400年前も今も変わらない、「子供に健やかに育ってほしい」という親の深い願いが込められたメッセージです。

現地で三猿を見上げるとき、ぜひお子さんの手を握って伝えてあげてください。

「このお猿さんたちみたいに、あなたも良いものをたくさん見て、素敵な大人になってね」と。その一言が、日光旅行をただの観光ではなく、一生の宝物のような思い出に変えてくれるはずです。

日光の美しい自然と、お猿さんたちが語る優しい物語を、ぜひ家族みんなで楽しんできてくださいね。


[参考文献リスト]

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