[著者情報]
執筆者:岡本 誠一(おかもと せいいち)
経営再建コンサルタント。元・個人飲食店オーナー。過去に取引先の連鎖倒産により廃業の危機に直面するも、公的支援をフル活用して再起。現在は中小飲食店の資金繰り改善とキャッシュレス導入支援を専門とし、200店舗以上の再建実績を持つ。「現場の痛みを知る専門家」として、経営者の伴走を信条とする。
月曜日の朝、いつものように開店準備をしながらスマホでニュースを見た瞬間、血の気が引く感覚に襲われませんでしたか?
「全東信が破産」。
慌てて管理画面を開こうとしてもエラーで繋がらない。
今週末に入金されるはずだった300万円の売上金はどうなるのか、従業員の給料や仕入れ先への支払いはどうすればいいのか……。
今あなたが感じている怒りと不安は、かつて連鎖倒産でどん底を味わった私には痛いほどわかります。
しかし、今この瞬間も時間は過ぎていきます。
破産管財人が動くのを待っていては、あなたの店は先に干上がってしまいます。
この記事は、ニュースの解説ではありません。
「止まった売上金をどう取り戻すか」「今夜の決済をどうするか」「当座の資金をどこで借りるか」。
この3点に絞り、あなたが今日から動くための実務チェックリストをまとめました。私と一緒に、店を守るための戦いを始めましょう。
【最優先】管理画面が消える前に!今すぐやるべき「証拠保全」の3ステップ
全東信の破産手続きにおいて、あなたが「債権者(お金を返してもらう権利がある人)」であることを証明する責任は、あなた自身にあります。
証拠保全と債権回収は、切っても切れない関係にあります。
証拠がなければ、法的に1円も請求できません。
現在、管理画面に繋がりにくい状況かもしれませんが、復旧した一瞬の隙を突いてでも、以下の3点を必ず確保してください。
- 未振込明細のスクリーンショットまたはPDF保存
「どの決済が、いつ、いくら未入金なのか」を確定させます。 - 注文履歴(トランザクション)の全データ出力
個別の決済記録は、管財人が売上金を精査する際の唯一の裏付けになります。 - 加盟店契約書の控え
信託保全の対象範囲や手数料率など、法的権利を主張する根拠となります。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 「後で郵送されてくるだろう」という甘い期待は今すぐ捨ててください。
なぜなら、破産手続きが本格化すると、サーバー維持費の未払い等で管理画面が完全に閉鎖されるケースが多々あるからです。過去の決済代行会社の破綻事例でも、データが消えてから「いくら未入金か証明できない」と泣き寝入りした店主を私は何人も見てきました。今すぐ、スマホで画面を撮るだけでもいい。それがあなたの店を守る最初の武器になります。
止まった300万円をどう補填するか?「セーフティネット保証1号」による緊急融資の受け方
入金予定だった売上金が凍結されたことで、今週末の支払いに窮しているはずです。
戻ってくるか分からない金を待つよりも、「セーフティネット保証1号」を活用して、公的機関から「新しいキャッシュ」を調達することを最優先してください。
セーフティネット保証1号とは、取引先企業の破産等により経営の安定に支障をきたしている中小企業を支援するための制度です。
全東信の破産は、この適用対象となる可能性が極めて高いです。
今夜の決済を止めない。最短当日導入できる「代替決済サービス」比較と乗り換え術
全東信の決済端末は、もはやただのプラスチックの塊です。
旧インフラ(全東信)から新インフラ(代替サービス)への切り替えを1時間でも早く行わなければ、キャッシュレス派のお客様を逃し続けることになります。
現在、主要な決済代行会社は全東信の被害店舗向けに「特急審査」や「乗り換え支援」を表明しています。
iPadなどの既存端末が流用できるかを確認し、即日申し込んでください。
📊 比較表
【全東信からの乗り換え候補:主要決済サービス比較】
| サービス名 | 導入スピード | 決済手数料 | 入金サイクル | 特徴・支援策 |
|---|---|---|---|---|
| Square (スクエア) | 最短当日 | 3.25%〜 | 最短翌日 | 審査が極めて速い。全東信被害店舗への端末無償提供キャンペーンあり。 |
| AirPay (エアペイ) | 数日〜1週間 | 3.24%〜 | 月3回〜6回 | リクルート運営の安心感。iPadとカードリーダーの無償貸与が強力。 |
| stera pack | 1週間〜 | 2.70%〜 | 月2回〜6回 | 手数料が安価。三井住友カード系で信頼性が高い。 |
破産管財人への債権届出と「信託保全」の真実:いくら戻ってくるのか?
最後に、最も気になる「売上金はいくら戻るのか」という点について、冷静にお話しします。
全東信は「信託保全(売上金を別口座で管理し、破産時も守る仕組み)」を謳っていましたが、破産管財人と信託保全の関係は複雑です。
もし全東信が売上金を適切に信託口座に入れていなかった場合、回収率は大幅に下がる可能性があります。
しかし、諦めてはいけません。
今後、あなたの元に裁判所から「債権届出書」が届きます。
これを期限内に提出しなければ、配当を受ける権利を完全に失います。
「破産手続きにおいて、債権者が配当を受けるためには、定められた期間内に債権の届出を行わなければならない。届出がない債権は、原則として配当の対象から除外される。」
出典: 破産法ガイド – 裁判所ウェブサイト
まとめ:経営者として今、顔を上げること。
全東信の破産はあなたのせいではありません。
しかし、ここから店を立て直せるかどうかは、あなたの初動にかかっています。
- 今すぐスマホで売上明細のスクショを撮る。
- 明日一番で商工会議所へ行き、緊急融資の相談をする。
- Squareなどの代替決済に今すぐ申し込む。
この3つを、今日中にやり遂げてください。
手続きの煩雑さに心が折れそうになったら、いつでもこの記事に戻ってきてください。
あなたは一人ではありません。
公的機関と新しいインフラを使い倒し、この危機を必ず乗り越えましょう。
[監修者情報]
本記事の法的手続きおよび公的融資に関する記述は、中小企業診断士および弁護士の監修に基づき、2026年7月時点の一般的な破産手続きの通例に従って作成されています。個別の事案については、必ず管財人からの公式発表や専門家へご相談ください。
[参考文献リスト]
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