「海外の取引先から ‘Best regards,’ とメールが届いた。自分はいつも ‘Sincerely,’ と書いているけれど、これって自分も同じように返していいのだろうか? それとも、やはり丁寧な Sincerely を貫くべきか……」
そんな風に、返信の「送信ボタン」を押す手が止まってしまったことはありませんか?
結論からお伝えしましょう。
相手が “Best regards” を使ってきたなら、あなたも同じ言葉で返すのが「正解」です。
丁寧さを追求するあまり、いつまでも形式的な表現を使い続けることは、グローバルビジネスにおいては「心の距離」を作ってしまうリスクにもなり得ます。
この記事では、15年の海外実務経験を持つ私が、相手との距離感を一瞬で見極める「ミラーリング戦略」と、意外と知られていない100%正確な表記ルールを徹底解説します。
[著者情報]
岡田 誠 (Makoto Okada)
グローバル・ビジネスコミュニケーション・コーチ / 元外資系戦略コンサルタント15年間にわたり日米欧の多国籍プロジェクトをリード。延べ3,000人以上の日本人ビジネスパーソンに「通じるだけでなく、信頼される英語」を指導。日本人の誠実さを活かしつつ、現場で勝てる「戦略的マナー」を授けるメンターとして活動中。
なぜ「Sincerely」だけでは不十分なのか?ビジネス英語の距離感の正体
ビジネス英語を学んだ際、結びの言葉として真っ先に教わるのが “Sincerely,” です。
確かにこれは間違いではありません。
しかし、現代のスピード感あるビジネスシーンにおいて、すべてのメールを Sincerely で通すことは、実は「損」をしている可能性があります。
かつて私も、ある欧州のクライアントとのプロジェクトで、数ヶ月間ずっと Sincerely を使い続けていたことがありました。
ある日、その担当者から「マコト、僕たちはもうチームメイトだ。
そんなに堅苦しく構えないでくれよ」と苦笑いされたのです。
Sincerely と Best regards は、単なる「丁寧な言葉」のバリエーションではなく、相手との「心理的距離」を示す指標です。
最上級にフォーマルな Sincerely は、初対面や公的な文書には最適ですが、日常的なやり取りにおいては「私はあなたと一定の距離を保ちたい」という無言のメッセージとして伝わってしまうことがあるのです。
現代のビジネスでは、形式的な正しさよりも、相手との信頼関係に基づいた「適切な温かさ(Warmth)」がプロフェッショナリズムとして評価されます。
✍️ 専門家の経験からの一言アドバイス
【結論】: 英語メールの結びは、相手との「関係性の進展」に合わせて柔軟に変化させるべきです。
なぜなら、この点は多くの日本人が「失礼のないように」と保守的になりすぎるポイントだからです。ずっと Sincerely を使い続けることは、相手が差し出してきた「親近感」という手を拒んでいるように見えてしまうことさえあります。
【結論】相手が「Best regards」なら、あなたも「Best regards」で返していい
「相手が上司や顧客であっても、Best regards と返して失礼にならないか?」という不安。
その答えは、私が提唱する「ミラーリング戦略」にあります。
ミラーリングとは、相手のコミュニケーションのトーンに自分のトーンを同期させる手法です。
英語メールにおいて、相手が結びに “Best regards,” を選んだということは、その相手が「このやり取りにおいて、この程度のフォーマルさが適切である」という基準を提示してくれたことを意味します。
ミラーリング戦略と Best regards の関係性は、いわば「相手の土俵に合わせる」という敬意の形です。
相手が少しカジュアルなトーンで接してきているのに、こちらだけが頑なにタキシードを着て挨拶しているような不自然さを避けることができます。
相手が “Best regards” なら、あなたも自信を持って “Best regards” と返しましょう。
それが、相手の提示した距離感を尊重しているというサインになるのです。

100%正確な「Best regards,」の書き方|大文字・小文字・カンマの鉄則
「Best regards」を使うと決めたら、次に気になるのが表記の細部です。
「Rは大文字?」「カンマは必要?」といった疑問に、グローバル標準のルールで回答します。
結論から言うと、最も正確な表記は “Best regards,” です。
ここで重要なのが、Sentence case(センテンス・ケース)という原則です。
英語の結びの言葉では、最初の単語の頭文字だけを大文字にし、それ以降の単語は小文字にするのが文法的な正解です。
📊 比較表
【Best regards の正しい表記とよくある間違い】
| 項目 | 表記 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|
| 正解 | Best regards, | ◎ | 文頭のみ大文字、最後はカンマ。これが標準。 |
| 許容 | Best Regards, | ○ | 慣習的にRを大文字にする人も多いが、厳密には不要。 |
| 間違い | best regards | × | 文頭が小文字なのはビジネスでは不適切。 |
| 間違い | Best regards. | × | ピリオドではなく、次に名前が続くことを示すカンマが必要。 |
また、カンマ(,)は「この後に私の名前が続きます」という合図です。
改行して自分の名前を書く前に、必ずカンマを添える習慣をつけましょう。
【シーン別】Best regards以外の選択肢と、好印象を与える「一言」の添え方
Best regards は非常に汎用性の高い「ゴールドスタンダード」ですが、状況に応じて他の選択肢を持っておくと、あなたのコミュニケーションはより豊かになります。
- Kind regards, : Best regards よりも少し丁寧で、温かみのある表現です。初めてメールを送る相手や、少し慎重に接したい顧客に最適です。
- Regards, : 最も短く、事務的な表現です。社内の同僚や、一日に何度もやり取りする相手には適していますが、人によっては「冷たい」と感じるリスクがあるため注意が必要です。
さらに、プロフェッショナルとして一歩先を行くなら、結びの言葉の直前に「Warmth markers(温かさの指標)」となる一言を添えてみてください。
例:
- Thanks for your help! (助かりました、ありがとう!)
- Looking forward to hearing from you. (お返事を楽しみにしています。)
- Have a great weekend! (良い週末を!)
Best regards,
Kenichi Sato
このように、事務的な結びの前に「相手を気遣う一言」があるだけで、メール全体の印象は劇的に柔らかくなります。
まとめ:もう送信ボタンで迷わない。自信を持って「Best regards」を使おう
英語メールの結びで迷うのは、あなたが相手を尊重し、失礼のないようにと願う「誠実さ」の表れです。
その誠実さは、すでに相手に伝わっています。
これからは、以下の3点を指針にしてください。
- 迷ったら「ミラーリング」: 相手が使った表現を「鏡」にして返す。
- 表記は「Sentence case」:
Best regards,(rは小文字) が美しい正解。 - 一言添えて「温かさ」を: 結びの前に感謝や気遣いをプラスする。
あなたのメールは、単なる情報の伝達手段ではなく、信頼を築くための道具です。
自信を持って “Best regards,” と打ち込み、送信ボタンを押してください。
その一歩が、グローバルな舞台でのあなたの評価を確固たるものにするはずです。
[参考文献リスト]
- How to sign off an email in English – British Council
- How to Use Regards, Best Regards, and Kind Regards – Grammarly
- Best Regards: Meaning and How To Use It (With Examples) – Indeed Career Advice
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